お姫様に花束を
「……何だよ
ただのじいさんが……俺を誰だと思ってるんだ!?」
「そうじゃ。
わしはただの老いぼれじゃ。
……じゃから、言わせてもらうがの……お前さん、何も分かっとらんよ」
ゲンさんがゆっくり諭すようにディラン様に話しかける。
「何も分かってないって……俺達のこと何も知らないアンタにそんなこと言われる筋合い……!」
「何も知らないわしにそう指摘されるほどお前さんは何も分かってないということじゃ」
ぐっ……とディラン様は言葉に詰まる。
ゲンさんは話を続ける。
「……お前さんが一番気に入らないのは、カノンのそばにリオンがいることなんじゃろう?」
「っ………………」
「王女と庶民。
王族のお前さんとしては庶民のリオンにカノンを取られてしまったことが悔しくて仕方ないのじゃろう」
……エリック様は言っていた。
ディラン様はカノンのことが好きだ……って。
だから……わざわざここまで来て……。
「……じゃがな、わしには分かるぞ。
なぜカノンがリオンを選んだのか」
ゲンさんは俺とカノンを交互に見てにっこり微笑んだ。