お姫様に花束を
私は何だか恥ずかしくなって、リオンの胸に更に顔を埋める。
リオンはそんな私の頭を優しく撫でる。
「……私も……好き」
小さな声でそう言うと、リオンは私の頭を撫でる手を止めた。
「カノン、こっち向いて」
リオンにそう言われ、私が見上げると……チュッと軽く触れるだけのキスをされた。
「リオン……」
リオンの目をじっと見つめれば、リオンは優しく微笑み返してくれた。
「明日……」
「ん?」
「明日……コアブリーの花畑を見たら……城に帰る」
私の言葉を聞いて、リオンが少し驚いた顔をした。
「そしたら……ちゃんと両親と話す。
この町のことも……私のことも……。
……リオンのことも」
「俺のこと……?」
私は小さく頷く。
「私が好きなのは……私がずっと一緒にいたいと思うのは……一人だけだって」
何があっても……リオンだけは失いたくない……。
そんな風に思ったのは生まれてはじめて……。
リオンは私を見て嬉しそうに笑う。
そして、私をその腕の中へもう一度引き寄せた。
「……ありがとう」
……どちらからともなくお互いの顔が近づいていく。
そしてゆっくりと唇が重なり……夜は明けていった――