お姫様に花束を
「……この町は前国王夫妻にとって……王家にとってとても縁のある町だったんですね」
リオンがゲンさんの話を聞いてそんなことを言う。
ゲンさんはゆっくり頷く。
「そうじゃ。
何といったって、前国王様が前王妃であるアナスタシア様にプロポーズしたのもこの町じゃからの」
「「……え?」」
私とリオンは思わず同時に声を出した。
ゲンさんはそんな私達を見て小さく笑う。
「仲良しじゃの、お前さん達」
ゲンさんのその言葉に私達は顔を見合わせる。
リオンと目が合うと、何だか少し恥ずかしいような照れくさいような気がして私も小さく笑ってしまった。
リオンもそんな私を見て笑顔を見せる。
「本当……お前さん達を見てると、あの方達を思い出すわい」
そう言いながらゲンさんは私達を見て優しく微笑んだ。