お姫様に花束を
子供を庇った後、近づいてきた車を見て立ち尽くしたカノンに俺は必死に駆け寄り、カノンを歩道側へと突き飛ばした。
俺も間一髪で車を避け、幸い手に擦り傷をしただけで済んだが……。
カノンは俺が突き飛ばした際に頭を打って気絶した……。
俺は医者に教えてもらったカノンの病室へと向かう。
扉を開けると、カノンがベッドの上に横たわっている姿が目に入った。
俺はベッド脇のイスに腰掛ける。
カノンの顔を見つめながらそっと手を握った。
小さくて華奢な手。
だけど、全国民の生活がかかっている……俺よりもずっとずっと大きな手。
「……ごめん」
ちゃんと守ってやれなくて……。
俺がそう呟くと、握っていたカノンの手がピクリと動いた。