お姫様に花束を

「カノン?」

「……三回目、だね」

「え?」

「リオンが助けてくれたの……三回目だよ」


カノンはそう言いながら小さく笑みを見せる。


「……でも、今回はちゃんと守ってやれなかった」

「そんなことない。
リオンが助けてくれなかったら……私は今頃この世にはいなかったかもしれないんだから」


でしょ?とカノンが俺に微笑みかける。


……俺はそんなカノンを思わず抱きしめた。


「リオン?」

「……よかった。本当に……」


カノンが気を失ったとき、本当に生きた心地がしなかった……。

カノンに何かあったら……


「あれ……リオン、それ……」


カノンは俺の手に巻かれた包帯を見つける。


「あぁ……擦り傷。
大したことないよ」


そう言ったけど、カノンは心配そうに俺の手を見つめる。

そして、ふわっと優しく俺の手を両手で包み込んだ。


「……ごめんね」


そんな言葉と共に。


「……俺は本当に大丈夫だから。
……あ、そうだ。
カノンが助けたあの子。
あの子も無事だったよ」

「本当に?
よかった……」


カノンは安心したように笑みを見せた。

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