お姫様に花束を


……その時だった。

俺は病室の外が何やら騒がしくなっているのを感じた。


「何……?」


カノンが不思議そうに病室の扉の方を見る。


「……ちょっと見てくるよ」


俺は扉の方へと足を進める。

そして、ゆっくりと扉を開けた。


……すると、扉を開けた先に目に見えたものは……


「大丈夫なの!?
本当に大丈夫なの!?」

「ですから、さっきから何度も言っておりますように……」

「あの子に何かあったら、私……っ!!」


さっき俺に包帯を巻いてくれた先生と……その先生に詰め寄っている……


「王妃様……?」


俺が呟くと、王妃様は驚いたようにこちらを向いた。

……その瞳には涙を浮かべていた。


「あなた……もしかして……」


王妃様が先生から離れて俺に近寄ってくる。


「リオン……君?」

「……はい。そうです」

「そうよね、カノンと噂になった子よね……。
ねぇ、カノンは……?
カノンは今っ……!」


……王妃様は取り乱しているようだった。

俺はそんな王妃様を落ち着けるように言葉を出した。


「大丈夫です。
目を覚ましましたよ」


俺がそう告げると、王妃様は安堵したのか少し力が抜けたようによろめいた。

しかし、すぐにたち直すとカノンの病室へと向かっていった。

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