お姫様に花束を
カノンは驚いたように王妃様を見る。
王妃様はそんなカノンを見ながらポツリポツリと話し始める……。
「……カノンも知っているでしょうけど。
ロイは幼い頃からそれはそれは厳しく躾されてきたわ。
それは未来の王になるために必用なことだったし、前国王様も今の国王も受けてきたことだから。
……私も心苦しかったけれど、そんなロイをずっと見守ってきたの」
王妃様……。
「そんなとき、あなたが生まれて。
……あなたのお父様が仰ったの。
この子は伸び伸びと育ててやりたい……って」
「え……?」
「……自分は厳しい環境で育ってきて……息子であるロイも自分と同じようにきっと辛い思いをする。
……それは王家に生まれた以上は仕方ないこと。
……だから、せめて……この子は王室のしがらみなんか全く感じさせないぐらい伸び伸びと育ててやろうって……」
国王様がそんなことを……。
「なら、どうして……。
どうして今まで……」
王妃様はフッとカノンから目をそらした。
「お母様……?」
「昔……。
カノンがまだ三歳ぐらいの頃。
私達家族四人でこの町に旅行に来たことがあったのよ」
あ……。
あの写真の……。