お姫様に花束を
「でもそのすぐ後に私達の公務が忙しくなって、あまりあなた達に構ってあげられなくなって……。
……ただ厳しいだけの躾になって、あなた達に愛情を感じさせてあげられなかった。
辛い思いしかさせてあげられていなかった……。
ロイがいなくなってしまって……そのことに気づいたはずなのに。
……もう二度と自分の子は失いたくない……その気持ちがより一層あなたに厳しく接してしまう結果になってしまった」
王妃様は切なそうにカノンを見つめながらそう言った。
「でもね……カノン。
これだけは分かってほしいの。
……私達はカノンもロイも心から愛しているわ。
そのことだけは何があっても変わらない」
……王妃様はカノンの目をまっすぐ見つめる。
カノンもまるで吸い寄せられるかのように王妃様をじっと見つめていた。
「……愛……。
……今なら……私にも分かる気がする」
「……え?」
「……私にも愛を教えてくれた人がいるから」
カノンはそう言いながら俺の方を見て優しく微笑んだ。
王妃様は振り返って俺を見る。
……そして、柔らかな笑みを見せた。
「……そう。そういうこと……。
……カノン。
あなた、きっと良い人に出会えたのね」
「お母様……」
カノンは嬉しそうににっこり笑った。
……その時だった。
「カノン!!」