お姫様に花束を

「お前はもう子供じゃない。
……私があれこれ口を出すのはもうよそう。
お前が正しいと思った道を進みなさい」

「それって……」


カノンが国王様と俺を交互に見る。


「お前が何を思ってリオン君とここに来たのかは何となく察した。
……考えがあるのだろう?
この町のことも……リオン君とのことも」


国王様がカノンに向かって優しく微笑む。


「お父様……」

「……私は忘れていたようだ。
……一番大切なことを」


国王様がカノンの頬をそっと撫でた。


「いくらカノンのためを思ってやっていても……カノンが笑顔になれなくちゃ意味がない。
そうでなきゃ……それは私の自己満足でしかない」


優しい……父親の目をした国王様。

本当はこういう表情をする人なんだ……。


「……女性の王位継承権撤廃なんて……一度でも考えた私がバカだった」

「……おば様に言われたことね」


カノンがそう言うと、国王様はゆっくり首を横に振った。


「……ミランダに提案される前から考えていた。
……もっともロイが生きていた頃の話だが」

「どうして……」

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