お姫様に花束を
病室を出て、俺はどこへ行こうかと考えながら歩く。
しばらくは親子水入らずの時間にしてやりたいし……。
ゲンさんのところにでもいこうかな……。
そう思っていた時……
「おい」
突然声をかけられた。
俺の視線の先には……
「……ディラン様」
壁に寄りかかるようにして立っているディラン様。
「……いらしてたんですか」
俺がそう言うと、ディラン様は壁から背を離して俺の方へと近寄ってきた。
思わず身構える俺。
……そんな俺を見て、ディラン様はフッと小さく笑った。
「そんな構えなくても、何もしない」
「……………」
「……カノン、無事だったみたいだな」
……よかった、とディラン様が小さな声で呟く。
ディラン様……カノンのこと心配してここまで……?