お姫様に花束を

「……ほら、着いたよ」

「着いたって……ここ……」


私は目の前の光景に驚きを隠せなかった。

だって、ここは……


目の前いっぱいに広がる鮮やかなブルー

城のビニールハウスのものよりも元気いっぱいな花……

こんなの……


「初めて見た……」


こんな素晴らしい花畑……

生まれて初めて……。


「どう?」


リオンが少し得意気に私に聞く。


「どうって……これ……」

「コアブリー。
カノン、見たがってただろ?」

「リオン……」


私は嬉しくなって思わずリオンの腕に抱きついた。

リオンはそんな私の頭を優しく撫でた。

< 263 / 271 >

この作品をシェア

pagetop