お姫様に花束を

「昨日さ、ゲンさんにここに連れてきてもらったんだ。
それで……いろいろ話聞いた」

「話って?」

「前国王夫妻の話」

「え……?」


おじい様とおばあ様の……?

リオンはしゃがみこんで、コアブリーの鮮やかなブルーの花びらをそっと指で撫でた。


「前国王様がここで……前王妃様にプロポーズしたんだって」

「え……そうなの?」


知らなかった……。

そういう話はおじい様ともおばあ様ともしたことないから……。


「そ。
ここで、コアブリーの花束を渡してプロポーズしたんだって」

「コアブリーの花束……」

「この花畑から摘んだんだって。
あ、もちろんゲンさん達町民の許可を取ってからだけど」


コアブリーの花言葉……。

「愛」と「大切な思い出」

そんな奇跡の花を束にして贈られたら……

私はそんな情景を思い浮かべて思わず笑みを浮かべた。

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