お姫様に花束を
「……カノン」
「ん……?」
いつもと違うリオンの真剣な表情に私もなぜか少し緊張感を覚えた。
「……俺さ、カノンに出会えて本当によかったよ」
「どうしたの……?突然……」
「カノンと出会わなかったら……きっと、こんな気持ち他の誰に対しても抱かなかったと思う」
「リオン……」
……少しずつ胸が高鳴っていく。
リオンはまっすぐ私を見つめる……。
私も不思議と目をそらせなくて……
「カノンのおじいさんとおばあさんみたいにさ……俺もカノンと一緒にこの町に思い出を作っていきたいって思った」
「え…………」
「これから先も……ずっと……」
それって……
すると、リオンは腰を屈めてコアブリーの花畑の中へと手を差し込む。
不思議に思いながら私がリオンの手の先を見つめていると……
……立ちあがったリオンの手には……思いがけないものが抱えられていた。
「それ……」
「ゲンさんに頼んだらさ、許可してくれたんだ。
……カノンのためなら、って」
リオンの腕に抱えられていたのは……大きなコアブリーの花束……。