お姫様に花束を
「そうですね。
カノン様がお生まれになった時から21年お仕えさせて頂いております」
21年……か。
「ですから、私もそれなりにカノン様のことを理解しているつもりです」
「ウェルス……」
「少なくとも、あの親戚の方々よりは」
ウェルスはそう言って静かに微笑んだ。
……何だかんだ言って、ウェルスは私のことをよく分かってくれている。
お父様よりも……お母様よりも……ずっと。
「……明日、頑張らなきゃ」
「公務の方でございますか?
それとも……」
「もちろん公務は全力でやるわ。
でも、それよりも神経を使うのが……」
「……あまりご無理をなさらないように」
ウェルスが心配そうに私を見る。
「……ありがとう」
あの親戚達と何事もなく無事に夕食会が済めばいいけど……。
私はもう一度小さなため息をついた。