お姫様に花束を

「まぁ、順番で行くと次はカノン様だから……」

「でも、国王様はロイ様が生きていらっしゃった頃は女性の王位継承は認めないと仰ってたわよ」

「やっぱり自分の子供に継がせたいんだろう。
本命ではなくても」

「ロイ様が国王になられたらこの国は安泰だと思っていたんだがな……」


……お兄様、お兄様って……。

……お兄様の方が優秀でみんなから期待されていたことぐらい……分かってる。

いつも比べられてきたんだから……。


「そういえば、カノン様はまた城を抜け出したそうじゃないか。
しかも真夜中に」

「一体何を考えているのかしら。
まったく……」

「今日の夕食会の遅刻も、公務がお出来にならなくて長引いたからじゃないかしら」


クスクスと自分をバカにするような笑いが聞こえる。


こういう人達だ。

昔から。


あぁ……やっぱりこの人達と同じところでご飯を食べるなんて無理。


「……カノン様?」


私の異変に気づいたのか、ウェルスが声をかけてきた。

だけど私はその声を無視して、わざと大きな音を出して扉を開けた。

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