お姫様に花束を

みんな突然入ってきた私を見て目を丸くする。

そしてさっきまでの会話が嘘のように私に対して恭しく挨拶をする。

でも、私はそんな親戚達に向かって言い放つ。


「どうしたんですか?
さっきの話を続けないんですか?」


私がそう言うと、親戚達は一斉に慌て出す。


「いえ、カノン様、あれは……」

「今更取り繕ったって無駄ですよ。
あなた方が陰で私のことを悪く言ってるのは知っています」


随分と昔から、ね。


「どうぞ話を続けてください。
その方が盛り上がるでしょう?」

「か、カノン様……」

「ですが、私はあなた方と一緒に食事を取りたくありません。
なので、これで失礼致します」

「カノン様、何を仰って……」

「ウェルス」


私が呼ぶと、ウェルスはすぐに扉を開けた。

私はさっき入ってきたばかりのその扉に向かってまっすぐ歩く。

後ろから声が聞こえるけど、そんなの知らない。


私が部屋から出ると、ウェルスは静かに扉を閉めた。


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