お姫様に花束を

「……カノン、お願いだから。
せっかくみんな集まったんだし……」

「私がいない方が話が盛り上がるでしょ。
……私の話で」

「カノン……」


ディランは困ったような顔で私を見た。


「……カノンは変わったな」

「え……?」

「ロイ様がいなくなって……変わった」

「っ………………」


また……お兄様。

……みんなそう。

みんな……お兄様を求めてる。

私じゃなくて……お兄様を。



「……嫌味を言いに来たなら帰って」

「……違う。
俺はただカノンが心配で……」

「……心配?
……嘘ばっかり」

「嘘じゃないよ。
俺は本当に……」

「……あの人達は私がいなくなればいいと思ってる。
ディランだって同じでしょ」

「カノン……」

「……私が辞退したら、次はディランの母親へ。そして、その次はディランへと王位が移っていく。」

「俺は王位なんか……」

「でも、あなたの母親はそれを望んでる。
……そのために女性の王位継承を撤廃させようと国王様に話をしていることも知ってる。
そしたら、次の国王はディランになるものね」


私がそこまで言うと、ディランは気まずそうに私から視線をそらした。


……さっき、お兄様が生きている頃は国王様もそれを望んでいたと親戚達が話していたけれど。

お兄様がいなくなってから、国王様はその話はしなくなった。

私に王位を継がせようとしている。

でも、親戚の一部はそれを快く思っていない。

特にディランの母親……国王様の妹は。


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