お姫様に花束を


……そして、私はまた城を抜け出した。


こんなことしていたら、また何か言われるかもしれない。


でも……城の中にいたら、息が詰まってどうになりそうだった。


城壁の外に出たら、驚くぐらい心が落ち着いた。


どこに行こう……。


そう考えた末に、私が思い付いたのはリオンの所だった。


でも……もう夜だし。


……だけど、他に頼れる人もいない。


私は何とか記憶を頼りにリオンの住んでいるアパートへと向かった。


……だけど。


「あれ……この辺じゃなかったっけ」


結構自信はあったんだけど……

この辺だったはずなんだけど……


リオンのアパートらしき建物は見えない。


スーパーも商店街もない。


あれ……違ったのかな。


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