お姫様に花束を

迷子……?

いやいや……まだ諦めないよ。


私はリオンのアパートの近く……だと勝手に思っている場所をとにかく歩き回った。


……うーん……。


やっぱり違うのかな……。


でも……


……今更城に戻ることもできない。

……道、分かんないし。


「はぁ……」


……ウェルス、また捜してるかな、私のこと。

国王様……きっと怒ってる。


「……お兄様……」


……ポツリと呟く。


……昔だったら。

私が困っていたら……お兄様が飛んできていつも助けてくれた。

私が泣いていたら……泣き止むまでずっとそばにいてくれた。


……どうして。

どうして……いなくなってしまったの。


……目頭が熱くなった。

……じわっと目の前がボヤける。


私は慌てて目元を拭った。



……すると、私は前方に何やらお洒落な外観をした建物を見つけた。

お店……?

灯りがついてるってことは……まだ営業してるのかな?


……私はまるで引き寄せられるように、その建物へと歩いて行った。

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