お姫様に花束を
「え……いいの?」
「あぁ。
まぁ、今日はもう客来なさそうだし。
それに、カノンがここにいるって知られたらマズいだろ」
「あ……。
……ごめんなさい」
私が謝ると、リオンは小さく笑いながら頭を横に振った。
「いいよ、謝らなくて。
俺が勝手にやってることだし」
……申し訳なくなってきた。
今更だけど……
……私、いろんな人に迷惑かけてる。
「……カノン?」
リオンが心配そうに私に声をかけてきた。
「……どうした?」
……何も答えられない。
何か答えたいけど……何も言えない。
俯いたまま黙りこんでしまった私を見て、リオンはフッと優しく笑った。
「ちょっと待ってろ」
そう言うと、リオンはカウンターの向こう側で何やら作業をし始めた。