お姫様に花束を
すごっ……広い……。
言葉を失う程の広さと豪華さ。
そして大きなダイニングテーブル。
その大きなダイニングテーブルには……カノン一人だけが座っていた。
一人……?
「あ、リオン。おはよう」
「おはよう……」
俺を見つけると、カノンは笑顔で挨拶をしてくれた。
それに答えながらウェルスさんに案内された席に着く。
「朝食って……カノンだけ?」
「そうよ。
国王様も王妃様も公務で外にいるから」
「そうなんだ……」
てことは、俺がいなかったらカノンはこんな広い場所でたった一人でご飯を食べることになるのか……。
それって……寂しいな。
「お待たせ致しました」
ウェルスさんがそう言うと共に俺の目の前に置いたのは……
……今まで見たことのないぐらい豪華な料理。
「え…………」
これが……朝食?
「リオン様、どうかなされましたか?」
「あ……いや……」
……どうしようか。
テーブルマナーなんて……
でも、きっとこういうのは食べるのにマナーがあって……
ヤバい……。
すると、そんな俺の気持ちに気づいたのか、カノンは俺を見てにっこり笑った。
「何も気にしないで。
今は私しかいないから」
その言葉に少し安心し、俺は静かに深呼吸を一回して、食事を始めた。