お姫様に花束を
食事を終えると、今後のことを話さなければならないと言われ、俺はウェルスさんに連れられてカノンの執務室に通された。
執務室は俺が泊まった客室やダイニングと違い、シックな落ち着いた感じの部屋だった。
「カノン様、リオン様をお連れ致しました」
「……ありがとう」
俺はカノンにソファに座るように促された。
ソファに座ると、とてもふかふかで心地よかった。
「カノン様。
こちらを……」
ウェルスさんはカノンにとある雑誌を開いたまま差し出した。
カノンはそれを一瞥すると、大きなため息をついた。
「世間はイケメンバーテンダーが私の恋人だと思ってるらしいよ」
カノンはそう言いながら俺の方を見た。
「イケメンバーテンダーって……え?
俺?」
カノンとウェルスさんは揃って頷いた。
俺が……カノンの恋人?
「もちろん王室としては否定していますが……」
「リオンのアパートやバイト先にパパラッチが押し掛けてるみたいよ。
……そんな状態でリオンを帰すわけにはいかないわ。
全部私のせいだし……」
パパラッチが……。
そうか……そんな大事になってるのか……。