お姫様に花束を
「……どうぞ」
俺が麦茶を目の前に置くと、女の子は嬉しそうに顔を綻ばせた。
「ありがとうございます」
あれからこの子に家に帰るように促したが、何も答えなかった。
どこか目的地でもあるのかと聞いても返答はなかった。
どうしようか迷った末にとりあえず家に来るかと聞いたら、大きく頷いたから仕方なく連れてきたものの…………
「………………」
……まさかこんな形で女を連れ込むとは思わなかった。
しかも、さっきは暗がりで顔はよく見えなかったけど……結構可愛い。
い、いや……別にこの子をどうこうするわけじゃないけど、自分の部屋にこんな可愛い子がいたらそりゃあ緊張だってする。
テーブルを挟んで向かいに座っている女の子を見れば、美味しそうに麦茶を飲んでいる。
「あの……」
「ん?」
女の子の方を見れば、とても好奇心に満ち溢れたような顔で俺を見ていた。
「これは何という飲み物ですか?」
「……え?」