お姫様に花束を
「どうしたの、ウェルス」
「……もう分かっておられるとは思いますが」
ウェルスは厳しい顔で前置きをした後、
はっきりとした声で私に告げた。
「今回の件、国王様は大変お怒りでこざいます」
「……でしょうね」
「国王様も王妃様も現在訪問中のタナティーユ王国から明日帰国するそうです」
「……帰国は明後日だったはずじゃ……」
「早められたそうです」
「……じゃあ明日はお説教……か」
私は今日もう何度目になるか分からないため息をついた。
「ミランダ様も……この件を知り、大変ご立腹だそうです」
ミランダ様……。
……ディランの母親。
「ここにリオンがいると知れたら……もっとお怒りになるでしょうね」
あの人のことだから、絶対。
「……どうされるおつもりですか?」
「さて……どうしましょうね」
曖昧な返事を返す私に、ウェルスは何か言いたげに小さくため息をついた。