お姫様に花束を

「俺のことよりもカノンは大丈夫なのか?」

「ん?何が?」

「ほら、いろいろ対応とか……」

「うん、大丈夫。
あれから表立った行動もしてないし。
パパラッチは何とかスキャンダルを撮ろうと必死だけど、国民はもう飽きてきてるし」


だから何かやらかさなければ大丈夫、と言いながらトランプタワーを作っていくカノン。


「……意外と器用だな」

「意外とってどういう意味よ」

「てかさ、普通にトランプした方が楽しくない?」


俺がそう言うと、カノンはなぜか突然ぱあっと顔を輝かせた。


「ど……どうした?」

「私、ババ抜きやってみたいの!」

「ババ抜き?
やってみたいって……」


やったことないってこと?


「昔、一度だけやろうとしたことがあるんだけど……。
お兄様と使用人を何人か集めて。
でも、いざ始めようとした時に国王様が現れて……。
こっぴどく叱られたわ。
仕事中の使用人を遊びに誘うなって」


それは……まぁ、そうだろうな。

使用人達も王子様や王女様に言われたら断りにくいだろうし……


「じゃあ代わりにお父様が相手してよって言ったらそんな暇はないって一喝。
……ただ一緒に遊んでほしかっただけなのに」


……そうか。

国王様は忙しいから……。

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