お姫様に花束を

「それ聞いたら、何かもう……人付き合いとかそういうの、どうでもよくなっちゃって。
何もしなくても人が寄ってくるから。
……私が王女だから」


カノンはそう言いながら苦笑いした。

……すごく寂しそうな目をしながら。


「カノン……」

「でも……」


カノンはトランプタワーから視線を移し、まっすぐ俺の方を見た。


「リオンは……他の人達とは違う感じがするの」

「え……?」


カノンは俺を見ながら……柔らかに微笑んだ。


「……リオンなら……信じられる気がする」


……俺はカノンの綺麗な瞳を見ながら固まった。


ドクン……ドクン……と心臓が音を立てる。


交わる二人の視線……。


速まる胸の鼓動……。


近づいていく二人の距離……。


そして……


「カノン……」


俺がカノンの名を呼んだ……その時。


バン!!と勢いよく部屋のドアが開いた。

そして


「カーノン!!」


……見知らぬ男が入ってきた。

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