お姫様に花束を

「大体、いつも来るのが突然すぎよ。
来るなら前もって連絡してもらわないと」

「ごめん、ごめん。
でも、可愛い妹の顔が見たくなっちゃってねー」

「妹?」


俺が思わず反応すると、エリック王子が俺の方を見た。


「あ、もしかして君が噂のイケメンバーテンダー?」

「え?あ……えーっと……」

「エリック。
リオンを困らせないで」

「はいはい。
俺はエリック・キャンベル。
こう見えても王子様やってます!
よろしく」


エリック様が俺に手を差し出してきた。


「初めまして、エリック様。
リオン・アルバートと言います」


俺も手を伸ばし、エリック様と握手を交わす。


「そんな堅苦しい挨拶はナシナシ。
俺のことはエリーって呼んでくれればいいから」

「え……エリー……?」

「エリックでいいわよ。
エリーなんて呼んでる人、誰もいないから」

「だからいつも言ってるじゃん。
エリーお兄ちゃんって呼んでいいよって」

「呼びたくないし……。
ていうか、お兄ちゃんじゃないし……」


カノンが呆れたような目でエリック様を見る。


「もー、素直じゃないな。カノンは。
これでも昔は可愛かったんだよ。
俺が泊まりに来た時なんか、怖い夢見て寝れないから一緒に寝てーって泣きついてきて。
ロイと一緒に三人で並んで寝たよな」


ニコニコ笑いながら話すエリック様。


「も、もう!
リオンの前でそんな昔の話しないで!」


ほんのり頬を赤くしながらエリック様に
怒るカノン。

そんなカノンを見て楽しそうに笑うエリック様。


仲良いんだ、この二人……。

< 72 / 271 >

この作品をシェア

pagetop