お姫様に花束を

「特にカノンの親族はカノンのことをあまりよく思っていないらしくてね。
いつもカノンの悪口や嫌味を言ってるらしい。
……これはあくまで噂だけど。
国王様の妹君のミランダ様は息子のディランを次期国王にすべく、国王様に掛け合っているらしいんだ。
……女性の王位継承権を撤廃するように、と」


俺はその言葉を聞いて思わず目を見開いた。


「何だよ、それ……」

「あくまで噂だから。
真実は分からない。
でも、それほどカノンのことを嫌っているのは事実だよ」

「……カノンの両親は……。
国王様と王妃様はカノンが苦しんでるって……知らないんですか？」

「どうだろうね。
国王様と王妃様はもちろんカノンを愛している。
だけど、それはカノンには伝わっていない。
カノンは両親を信頼などしていない。
……昔から仕事仕事で子供に構ってあげていなかったから当然といえば当然かもしれないね。
……このこともカノンが苦しんでいる原因の一つかもしれないね」


そんな……。


「いつもロイと比べられ、親戚から嫌われ……両親は信用できない。
……王室にはカノンの味方はいない。
カノンにとって王室は自分を縛り付けるもの以外の何物でもない。
……でも、カノンはこの国の民を愛している。
この国を良くしたいと思っている。
きっと……国王様よりも親戚よりも……誰よりもそう思っているよ」