お姫様に花束を
「……いつからかな。
カノンがあまり感情を表に出さなくなったのは。
ロイ相手にはよく笑ったり怒ったり泣いたりしていたんだけど。
ロイがいなくなってからはあんまり……。
実の親にですら無表情で話しかけるからね、あの子は」
……そうか。
国王様と話してるときのカノンの表情は……冷たかった。
ここまで無表情になれるのかと思うほど。
でも……
「でも……俺、国王様と二人で話したとき……国王様はカノンのことをとても大切に思っているように感じました」
すると、エリック様は優しく微笑んだ。
「そうなんだよ。
カノン以外にはちゃんと伝わってるんだけどね。
……カノンには伝わらないんだよ。
あの人達、不器用だからさ」
……もしかしたら、カノンと国王様はちゃんと話し合えば分かり合えるんじゃないか。
そしたらカノンはもっと楽になれると思うのに……。
「……実はね、ここに来る前にウェルスから聞いたんだよ。
カノンはリオンと話してるときはまるで昔のような表情を見せるって」
「え…………」
「それで、実際にここに来て確かめてみたら……本当に楽しそうだった。
リオンといる時のカノンは……本来のカノンを取り戻したかのような表情をしていた」
エリック様は嬉しそうに笑った。
「きっとリオンには心を許してるんだよ。
もしかしたら……君ならカノンを救ってあげられるかもしれないね」