お姫様に花束を
俺が……救う?
カノンを……?
……カノンは時折寂しそうな……切なそうな表情を見せる。
……本当は明るい子だってエリック様が言ってたな。
……思い出すのはスーパーに行くだけではしゃいでいたカノン。
本当はあんなに……。
エリック様はまだ仕事があるから、と言って帰っていった。
カノンをよろしく、と去り際に付け足して。
「あれ?」
突然声がして、びっくりしながら俺は扉の方を見た。
「エリック、帰ったの?」
「あぁ、まだ仕事があるって……」
「そっか。
まったく、本当に何しに来たんだか……」
そんなことを言いながらもカノンは全然嫌そうな顔はしていなかった。
「エリック様、面白い人だったな」
「エリックはいつもあんな感じ。
でも、何も考えてなさそうに見えて実は
結構頭がキレるの」
「へぇ……」
「……本当は私のこと気にかけて来てくれたのかもね」
「え………」
カノン……ちゃんと分かってるんだ。
エリック様がカノンを心配してること……
「可愛い妹が気になって、って言ってたもんな」
「そうね。
……実は私ももう一人の兄みたいに思ってる。
絶対本人には言わないけどね」
カノンはそう言って少し照れ臭そうに笑った――