お姫様に花束を

一気に暗くなった部屋の中の雰囲気。

俺はそんな空気を変えようとテレビをつけた。

テレビをつけるとちょうど朝のニュースがやっていた。


「ニュース番組……」

「どうした?」

「いえ……」


カノンは食い入るようにテレビを見つめていた。

何か気になるニュースでもあるのだろうか。


《それでは次のニュースです。
昨日、国王陛下が訪問先であるタナティーユ王国で……》


あぁ……国王様のニュースか。

最近はよく王室のニュースを聞くよなー……。

まぁ、そんなに大したニュースでもないんだけど。


王妃様の趣味の話だとか、王女様の様子とか……

よっぽどニュースの話題がないんだろうな。

まぁ、でもそれだけこの国が平和であるということで、いいことなんだけどな。


王妃様の趣味でも王女様の様子でも、変な犯罪の話を聞くより断然………


……………………………。


………ん?


……王女様……?


俺は慌ててテレビを見ているカノンを見た。


確か王女様の名前って……


俺の頭の中で何かが繋がりそうになったその瞬間、部屋にインターホンの音が響いた。

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