お姫様に花束を
カノンside


……久々に夢を見た。


何だか……安心する温かい腕に包まれた夢。

優しく頬を撫でられ……私は……


「……ん………」


……ゆっくりと目を開けた。

天井が見え、ゆっくり視線をずらすとここは私の自室だということが分かった。


私、執務室にいて……それで……


「目、覚めたか?」


声のした方を見れば、リオンがグラスを持ちながら立っていた。


「リオン……」

「水。飲む?」


ゆっくり頷けば、リオンが持っていたグラスを手渡してくれた。


「ちょうどよかった。
今持ってきたところなんだ」

「ありがとう……」


水を飲むと、少し頭がスッキリしたような気がした。


「ね、私……執務室にいなかったっけ?」

「執務室から出てきて、いきなり眠いっていって眠り始めたんだよ。
本当、ビックリした」


小さく笑いながらそう言うリオン。

待って……てことは……


「リオンが……運んできてくれたの?」

「そうだよ」


じゃあ……

……私が夢で見た……あの温かな腕は……

……リオン?

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