お姫様に花束を


目の前にリオンの胸がある……。

温かい……温もり。

リオンのしっかりした……でも優しい腕に抱きしめられると……すごく安心する。

私が今まで知らなかった……温もり。


「リオン……」

「ん……?」

「私……人がこんなに温かいって……知らなかった……」

「……カノン……」


私の背中に回ったリオンの腕の力が少し強くなり、私の顔はリオンの胸に押しつけられる。


「……カノンって思ってたより小さいな」

「え……?」

「俺の腕にすっぽり入る……」


リオンの手が優しく私の髪を撫でる……。


「でも……こんな小さいのに……この国を背負って立ってるんだよな……」


リオンの私の髪を撫でる手が……とても優しくて心地良い。
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