お姫様に花束を

私がそっと顔を上げると、優しい目をしたリオンと目が合った。

吸い込まれそうな……綺麗な瞳。


見つめ合ったまま……リオンの整った顔がゆっくり近づいてくる。


私は静かに瞼を閉じる……。


そして……ゆっくり重なる、二人の唇……。


感じる……リオンの温もり。

今まで味わったことのない……幸せな気分。


一度唇が離れ、黙ったまま見つめ合う……そして、すぐにまた重なる唇……。


「カノン……」


少し掠れた声でリオンが私の名前を呼ぶ……。


私はリオンを求めるように……今度は自分から唇を合わせる……。


……好き。

この人が……好き。

……でも、それを口にしてしまったら……

……口に出すことは……許されない。


だから……もう少し

もう少しだけ……このままでいさせて――



その瞬間、何の前触れもなく音をたててドアが開いた。

そして……


「カノン様、失礼します!」


……ウェルスが入ってきた。

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