お姫様に花束を

「あ…………」


私達は慌てて唇を離す。

ウェルスはポカンとしたまま私達を見つめる……。


「あ、あの、ウェルス……」


私が声をかけると、ウェルスはハッと我に返り慌てた様子で口を開いた。


「し、失礼しました!」


そう言ってウェルスは慌ただしくドアを閉めた。



「……………………」

「……………………」

「……見られた?」

「……確実に見られたな」


ドアからリオンへと視線を移すと、リオンの顔は私の顔のすぐ近くにあって……思わず私の顔は熱をもつ。


「今更赤くしなくても」


そう言いながらリオンは小さく笑う。


「だ、だって……」


どこを見ていいか分からず視線を下にすると、私達がまだ抱き合ったままなのに気がついた。


「リオン……あの……」

「え?あ……」


私の視線に気づいたリオンが、ぱっと私の背に回っていた腕を緩めた。

リオンが私から離れた瞬間、少しだけ寂しさが生じる。


……自分から言ったのに……変なの。

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