お姫様に花束を

こんな朝早くに誰だよ……。

そう思いながらドアを開けた。


「はいはーい……」


すると、そこにいたのは……

執事風の上品そうな男性だった。


「朝早くに大変申し訳ありません。
私、コアブル王家にお仕えしております、ウェルスと申します」


ウェルス……?

あれ……何かどっかで聞いたような……


……はっ!

そういえばさっきカノンがブレンドがどうとか……


「突然お伺いしてお聞きするのは大変恐縮なのですが……こちらにコアブル王国王女、カノン・ミースト様はいらっしゃいますでしょうか?」

「カノン……ミースト……様……」


それって……

それって……まさか……


「……もう嗅ぎ付けてきたのね」


俺の後ろから小さなため息と共にそんな声が聞こえてきた。

慌てて振り返れば、さっきまでテレビを見ていたカノンが諦めたような顔で立っていた。


「カノン様!
捜したのですよ!
城を抜け出すなんて、まったく……」

「……ちょっと遊びに行ってただけ」

「真夜中にどこに遊びに行ってたと言うんですか!」


ウェルスという人に叱られ、少ししょんぼりするカノン……いや、カノン様……。


カノン様は俺の方を見ると、小さく頭を下げた。


「迷惑かけて……ごめんなさい」


そう言うと、カノン様は後ろに控えていたSPと一緒に部屋を出ていった。


「この度はカノン様が大変ご迷惑をお掛け致しました。
カノン様が城を抜け出したということはどうかくれぐれもご内密に……」

「ええ、それは……」


俺がそう言うとウェルスさんはにっこりと微笑んだ。


「ありがとうございます。
それでは私もこれで失礼致します」


ウェルスさんは深々と頭を下げると、俺の部屋を静かに出ていった――

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