お姫様に花束を
「そうでございましたね。
今いらっしゃった方は特にカノン様のことを非難していらっしゃいました」
「本当……大人って汚い生き物」
私がそう言うと、ウェルスはクスッと小さく笑う。
私が不思議に思うと、ウェルスは笑いながら私の方を見て言った。
「そう言うカノン様ももう立派な大人の仲間ですが」
…………………。
……確かに。
「……口癖のように言ってたからかな、子供の頃から。
自分もその汚い大人だってこと忘れてた」
「カノン様はまだ汚くありませんよ」
「……そうね。
絶対私が今まで見てきた大人達のようにはならない。
……この国の未来を担う子供達に誇れるような人になりたい」
それが……私の目標。
「ウェルス、今度から大臣や議員達が来ても一切通さないで。
時間がもったいないから」
「かしこまりました。
皆さん、残念がるでしょうね。
アピールする機会を失って」
「私に気に入られたいだけなのよ。
でも、いくらアピールしたところで無意味だけど」
「カノン様は仕事の良し悪しで判断されますからね」
「いくら私を喜ばせるのが上手くても、仕事ができなきゃ使い物にならないし」
そう言いながら私はデスクの上の資料を眺めた。