この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜
「よし。他に違反した者はいないようだな。では、昨日の戦ごっこの続きをやろう!」
そう言った俊彦さまを先頭に、皆さまは元気よく
母さまに挨拶を済ませると、外へ駆け出して行かれました。
母さまに外出する旨を伝えてから、最後に兄さまが姿を現すと、見送るために 私は兄さまに駆け寄りました。
「兄さま……!あの……!」
先ほどは、とても感動いたしました!
兄さまは 私の誇りです!
兄さま贔屓の私は、興奮冷めやらぬ気持ちを伝えたくて、気持ちのまま 兄さまを呼び止めたのですが。
兄さまはまた 困ったお顔をなされて、
「ゆき。すまないが、皆と一緒に出かけてくる。
帰ったら必ず遊んでやるから。……ごめんな?」
本当にすまなそうなお顔をされて、そう謝って下さるから。
そのお気持ちが嬉しくて、思わず 笑みがこぼれた。
「いいえ!私のことなど、お気になさらないで下さい!
先ほどの兄さまは、とても素敵でした!ゆきは感動いたしました!」
笑顔で告げると、兄さまは私の言葉に、驚いて 照れていらっしゃる。
「馬鹿者。からかうな」
コツンと頭を小突かれて、喜んでしまう私は おかしいですか?
そっぽを向く その少し赤い横顔が、私にはとても眩しく見えました。