この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜
 


―――どうしよう。胸の高まりがとまらない。


心が跳ねるまま早足で歩いてきた私は、息が上がってやっと足を止めた。



………どうしてこんなに、私に向けてくれた笑顔を思い出すだけで、胸が熱くなるんだろう。

ギュッと心をわし掴まれたような気持ちになるんだろう。



(………初めて私に、笑ってくれた………)



それだけで、うれしくてたまらなくなる。



けれどそう感じている自分に気づいて、あわててかぶりを振る。



いやいや、きっと あれね?普段 不機嫌な表情ばかり見てるから、

その一瞬見せた笑顔が、ものすご〜〜〜く貴重に思えたっていう。

それで嬉しかったんだわ?



だっていつもは、馬鹿にしたような笑みしか見たことなかったし。

あんな自然な笑顔、初めて見るんだもの……。



不思議な気持ち。



私……こんな気持ち、……初めて……。



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