この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜
いったい、どうして?
私はまつの恋の、少しでも力になりたくて。
だからそう提案したのに。
まつは兄さまと離れて、嫁いでしまっても構わないの?
まつはまだ潤んだ瞳を少し細めただけ。
「……もう、よろしいのです。八十治さまは私のために、ああおっしゃって下さったのです。
あの方には、もう私など必要ないのです。
何も気がかりを残すことなく、心おきなく嫁ぐことができるのですから、私は幸せ者です」
「そんなことない!私にはわかるの。兄さまにはまつが必要だわ。
だからお願い、あきらめてしまわないで。私も力になるから……」
「もう、やめて下さい…… !!! 」
まつに強く遮られて、私は思わずビクッとする。
まつ……怒ってる?
どうして?私はまつのために……。
「あきらめないでなんて、簡単におっしゃらないで下さい!! ゆきさまに、私の気持ちなどわかりません!!
身分も、年も。すべてがあの方に相応しくて、何の苦もなく当たり前にそれを手に入れてる貴女さまには……!! 」
まつの悲痛な叫びは、容赦なく私の心を貫いた。
.