この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜
 


いっきに力が抜けて、立ち上がる気力もなかった。


ケガをしたのは、利き足である右足。


そうでなくとも、裸足のまま走ったから、足の裏からも血が滲んでいた。



痛くて疲れて、もう立ち上がる気力さえない。



しばらく呆けたように、ただ流れ落ちる自分の血を眺めていた。



………止血しなきゃ。



そういえば手拭いも、まつに渡したからないのだった。



そんな私に、誰かが声をかけてくる。



「……お嬢ちゃん、なじょしたね?」



声のするほうへ、おもむろに顔を向けると。



畑仕事の帰りだろうか。鍬を持って背に籠をしょったお百姓のおじいさんが、心配そうに私を覗き込んでいた。



「ありゃあ、血が出とるじゃないか。しかも裸足でどうしたね!
お嬢ちゃん、大丈夫かい?立てるかい?」



そう話しかけてくれるけど、私は気力が尽きていて、しゃべることもできない。



足から滲み出る赤を、ただただ眺めるだけ………。



そのとき。思わぬ声が、聞こえた。



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