この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜
おふたりは組み合ったまま、また倒れた。
そしてどちらもその場に腰をついて、大笑いされてる。
きっと勝ち負けは関係ないんだわ。
ただじゃれあって、遊んでいただけなのね。
喧嘩をしてた訳じゃないとわかって、私はホッとした。
「よし。俺もやるぞ。俊彦、どうだ?」
兄さまも身を乗り出す。
こんな好戦的な兄さまは、初めて見るかも。
家では滅多に見られない兄さまのお姿は、私の心を弾ませる。
「いいだろう」
俊彦さまも頷かれると、やっぱり諸肌を脱いで、兄さまと向き合う。
庭はあっという間に上半身を見せた男子達の相撲場となった。
「あの子達には、暑さは関係ないようね」
またさき子さまが苦笑された。
………本当に。私も暑気あたりを吹っ飛ばすくらいの元気をもらえたよう。
男子の裸なんて、兄さまでさえ あまり見たことないのに。
恥ずかしくて本当は直視できないけれど、でもやっぱり見ていたい。
夏の強い陽射しのなか、生き生きとした笑顔でふざけあう彼らの姿が、とてもまばゆく、光り輝いて見えた。
ふと、気づく。
兄さまと並んで笑う利勝さま。
いつのまにか、兄さまの背を追い越していた。
―――ああ。ほら。ほらね?
どんどん素敵になってゆく。
こんな眩しい人。どこを探したっていない。
………ずっと 見ていたい。あなたの姿を。
できることなら、あなたのすぐそばで………。
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