この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜
ふらり、利勝さまに近づいた。
小さく丸まる、その背中を見つめて。
利勝さまは動かない。
私がどんなに近づいても、私を見ようともしない。
ただただ『大好きな兄上の死』を 心の奥底に飲み込んで、平常心を保とうとしてる。
泣かないで?哀しまないで?
利勝さまには、いつも笑っていてほしいから。
――――だけど。
小さくなった背中を、包み込むように そっと抱きしめる。
そのギリギリの心を 壊さないように。
飲み込まれそうな恐怖に怯えないように。
ビクリとその身体が、一瞬 震えた。
「なっっ……!! 」
驚いてお顔を真っ赤にした利勝さまが、私を振り向く。
至近距離で見たその瞳は、懸命に涙をこらえていた。
それでも、目のふちは真っ赤で。
(―――ああ。やっぱり)
あわてて振り払おうと身体をよじる利勝さまに、私は離れまいと必死でしがみつく。
「おいこらっ!! 離せよっ!! 」
「いやです!! 」
「何言ってんだ 離せ!! 」
「泣いて下さい!!! 」
その言葉に、ピタリと利勝さまの動きが止まった。
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