この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜
私はしがみついた背中に顔をうずめたまま叫んだ。
「今は……!今だけは泣いて下さい!! 今だけは、兄上さまの死を悼んであげて下さい!!
そして……そして、気が済むまで泣いたら、必ず前に進むと約束して下さい……っ!! 」
たとえ今、哀しみや苦しみを無理やり心に押し込めたとしても、それはいずれ膿をもち、いつか心を壊してしまう。
それならいっそ、すべてを吐き出して。
明日に進む一歩につなげてほしい。
前を向く勇気に変えてほしい。
そしてまた 笑顔を見せて。
言うだけ言って 自分ばかり泣いている、しがみついた私の手に、利勝さまの手が重なる。
強く握られて、私の手なんか 簡単に振りほどかれると思った。
――――けれど。
私の手は、ほどかれることはなかった。
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