この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜
返事を聞くと利勝さまは頷いて、握りしめていた私の手を静かに離した。
同じ熱さになっていたから 忘れてた。
利勝さま、今までずっと握っていてくださったの………?
高まる鼓動を感じながら、私はしがみついていた手をゆっくり離す。
どうしよう。
きっと……きっと気づかれた。
私が、利勝さまを 好きだって。
「あ……あのっ」
声をかけると、利勝さまが振り向く。
その瞳はまだ赤いけれど、もう涙に濡れてはいなかった。
「あのっ、差し出がましいことをいたしまして、大変失礼いたしました!
あのっ!今しがた起こったことは、どうかお忘れ下さい!! 」
熱くなった頬を隠すように、私は顔をそらす。
恥ずかしくて、利勝さまのお顔をまともに見ることができない。
「………」
利勝さまは答えなかった。
代わりに懐から手拭いを出した。
私が渡した、あの藍色の手拭い。
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