この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜
その藍の色は、二年前に渡した時より少しばかり色褪せていた。
利勝さまがちゃんと使ってくれている証拠。
うれしい反面、けれどそれを差し出された意味がわからなくて、ただポカンとそれを見つめる。
すると、利勝さまがおっしゃった。
「……顔。拭いたほうがいいぞ。まあ、お前のひどい顔は見慣れてるけどな」
言われてからやっと、あわててそれを受け取り顔にあてる。
急いで顔を拭きながら、心の中で軽く安堵した。
よかった。いつもの 利勝さまだ………。
利勝さまのお顔には、袖で拭われたのか、涙の跡はなかった。
私のほうがだいぶ泣いていたのね。
なんだか恥ずかしい。
「貸すだけだぞ。あとで ちゃんと返せよ」
「わかっております。きちんと洗ってからお返しいたします」
私がいつもの調子で答えると、利勝さまはふっと目を細めた。
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