この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜
「ただいま戻りました!ゆきも一緒です!」
裏口から入りそう声をかけると、上がり框に腰を下ろし、兄さまは草履を脱ぐ。
白く汚れた足袋も、その場で脱いで袖口に押し込んだ。
まるで 冷静さを失って、逸る心のまま走りまわった事実を隠すように。
奥から小走りで、母さまが出迎えて下さった。
「……ゆき!心配したのですよ!?」
母さまは眉をつり上げて、少し涙声でおっしゃる。
「母さま……。申し訳ありませんでした」
うなだれて謝る私を、母さまは叱るでもなく、優しく抱き寄せて下さった。
「私が間違っていたのです……!ほとんど外に出たことのないお前を、ひとりで行かせたこの私が……!」
「母さま……」
謝って下さる。私が悪いのに。
優しくそうおっしゃって下さる母さまが温かくて。
安心してか、私の目から涙が溢れた………。