この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜
 


今日はさき子さまが外出をされていてお留守だったので、私は早々に帰ることにした。

くら子さまに挨拶をして、裏口から玄関のほうへと向かう。

玄関の前へと出て、私の足はピタリと止まった。



――――門の真下に、利勝さまが いた。



防具を提げた木刀を肩に担いで。
先に私に気づいて、大きな目を見開いている。



ドキリと 私の胸が鳴った。



軍事調練を終えて、お城からちょうど戻って来られたんだ。



実はあれから、利勝さまに抱きついてしまったことがものすごく恥ずかしくて、なるべく利勝さまに会わないよう避けていたのに。



(今日は調練が早く終わってしまったのかしら)



冷や汗が出て、鼓動が速くなる。



………久しぶりに見る、利勝さまのお顔。


兄さまと同じで、連日の外の訓練ですっかり日に焼けてしまっている。


それがたくましく見えて、眩しい。

胸が キュッと締めつけられる。



(――――やっぱり 好き)



あらためて 思い知らされる。



会うのを避けていた分。
会わない時間が長かった分。



想いが溢れてしまいそう。





………利勝さまが 好き………。






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