この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜

　


ドキンドキンと高まる鼓動を、口をついて出そうなほど溢れる想いを、なんとか心の中に押さえ込みながら。

なるべく平常心を装って、私は俯きがちに門へと近づく。


利勝さまは門の真下で立ち止まったまま動かない。



―――私を､見ている―――？



そう思ったら、心の臓が飛び出しそうだった。




｢ご……ご苦労さまです。き、今日は、お早い、お戻りだったのですね。
お野菜を、お届けに、伺っただけですので、そそ、それでは失礼致します……｣



面映ゆい気持ちが先に立ち、緊張のあまりとぎれとぎれだったけど、
挨拶をしてその場を早く立ち去ろうとした。



のに。



利勝さまは何も答えず、俯きながら門を通り抜けようとする私の行くてを阻むように、前に立ちはだかる。



通せんぼされた私は訳がわからず、戸惑いながら利勝さまを見上げた。



その大きな瞳と視線が重なり、見つめ合う。



ただ それだけで。
私は顔中が熱くなるのを感じた。



ドキンドキンと、さらに鼓動が速くなる。



｢と……利勝さま……？｣



ようよう、名をつぶやくと。



思い詰めた表情で私を見つめていた利勝さまが、ゆっくりと口を開いた。



｢――――話がある｣



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