この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜
 


利勝さまは苦りきったお顔のまま続けた。



「俺は決めたんだ。一刻でも早く戦場に出て、兄上の仇を取る。
そして 殿のために働いて、いさぎよく果てる。

今だってその日を願い、訓練しているんだ。だから……」


「わかっております」



自分が思うより、きっと利勝さまが思うより、はっきりとした声が出た。



利勝さまが 私を見る。



当たり前すぎるこの恋の結末に、自嘲の笑みさえ浮かんだ。



「いいんです。分かっているんです。
同じ気持ちが欲しいなんて、これっぽっちも思ってないんです。

ただ 自分の心に、あたたかく灯っているだけでいいんです。
利勝さまのお姿を見られるだけで満足なんです」



向けられる視線をやんわりと受け止めながら、想いの(たけ)を打ち明ける。



利勝さまを煩わせることだけはしたくない。

この想いはあくまで私の心内だけのもの。

想うことだけ、許してもらえるのなら。



そう思っていたはずなのに。





「……けれど、ご迷惑でしたらもうやめます。ですからご安心下さい」



私はいつのまにか、自分の気持ちを利勝さまに押しつけていたんだ。



利勝さまにとっては、さぞやご迷惑だったことだろう。


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